「高学歴難民」 (講談社現代新書 阿部恭子著)を読んで
「高学歴難民」(講談社現代新書 阿部恭子著)を読んで感じたことを書いてみたい。
この著書に登場する「高学歴難民」に共通するのは以下のパターンと個人的には思った。
- 勉強はできるが不器用
- 生真面目
- どちらかといえば体育(特にチームスポーツ)は苦手
- 友達が少ない(またはいない)
- 会社では出世できないタイプ
- 内向的
- 発達障がいの傾向(個人的な感想ではあるが)
私もまさしく上記のタイプであり、会社では出世どころか、後輩からも大きく抜かされてしまった。なまじ高学歴であるがゆえに「使えないおっさん」としてさげすまれている方だ。
それでも、会社には30年近く勤めており、それなりの資産を作ってきた。家族にも恵まれた。
この著書に登場する人物は世間では一流と呼ばれる大学を出ながら、犯罪に手を染めたり、生活保護レベルの生活に甘んじたり、引きこもって家庭内暴力に走る事例が紹介された。
大学院博士課程までいってオーバードクターで就職できないパターンは昔からあったが、学部卒で就職戦線に乗れなかったり、ドロップアウトしたりした事例もあった。
どこが分かれ道だったのだろうか。下手したら、この手のパターンに私自身が陥ることは十分考えられる。また、これから、早期退職をきっかけに泥沼にはまるかもしれない。
いわゆる優良企業ではあったが、入社時から数々のハラスメントに逢った。それでも30年近く勤められたのは運が良かったかもしれない。または、「辞める」という一言が今まで出なかったぐらいの臆病者だったかもしれない。それでも30年近くも貫き通せたのだから意外と肝が据わっていたのかもしれない。
誰に感謝すべきかもわからないが、家族の支えがあったからではないかと思う。早期退職を切り出して何度か家族の反対にあったが、結果的に資産形成には役立ったから改めて感謝してもしきれないだろう。
さらに、「高学歴難民」は、一般的な「難民」からは学歴コンプレックスの対象になりやすく、行き場がないことを考えると、私自身も生きづらさを人一倍感じた。プライドを捨ててもなお、重い十字架を負っているような気がしてならない。
作者は最後に情報発信と「高学歴難民どうしの」連帯を呼び掛けた。私も世代的にオールドの部類に入るが、情報を常にアップデートしていきたい。自分のスキルで世の中に発信できるように。