不動産(土地・建物)の名義変更

葬儀・四十九日法要・介護施設からの退居が一通り終わったら、後始末に着手しなければなりません。

その中で時間のかかるものが不動産の名義変更(相続による所有権移転)ではないでしょうか。

不動産の名義変更の手段として下記が挙げられます。

  • 法定相続
  • 遺産分割協議

法律に定められた遺産割合で分けるのであれば「法定相続」それとは異なる割合で分けるのであれば、「遺産分割協議」が行われます。「遺産分割協議」がいろいろと時間がかかります。

法定相続

法律に定められた「基本の」遺産相続の割合を定めるものです。まずは下記を覚える必要があります。

どの親族がいるか相続人相続割合
配偶者(夫もしくは妻)
子ども
配偶者
子ども
配偶者 2分の1
子ども 2分の1を人数で均等割
※子どもがすでにお亡くなりになった場合は孫が子どもの地位に入る。
(亡くなった子どもの相続分を分ける)
これを「代襲相続」という
配偶者
子供なし
実親(もしくは養親)あり
配偶者
実の親(および養親)
配偶者 3分の2
実の親(および養親) 
 3分の1を人数で均等割。
※配偶者の親は相続人にならない。
配偶者
子供なし
実親(もしくは養親)なし
兄弟姉妹あり
配偶者
兄弟姉妹
配偶者  4分の3
兄弟姉妹 
 4分の1を人数で均等割。
※兄弟姉妹は代襲相続ができない。

このように、ご健在なご親族の状況によって、相続人と相続割合が決まります。表にも記載していますが、お亡くなりになる前にその子が先にお亡くなりになっている場合は、その子の子である孫が相続します。これを「代襲相続」と言います。

また、お亡くなりになられた方がシングルの場合は、配偶者を除いた相続人で均等割りします。

このように決められた相続割合で問題がない場合、法定相続で登記したほうが手っ取り早いです。

遺産分割協議

中にはこんな方もいらっしゃるかと思います。

  • 跡取りに財産を一括して与えたい。
  • 同居している家族の名義にしたい

このような場合、「遺産分割協議書」が必要になります。

相続人の間ですでに話がまとまっているのであれば、「遺産分割協議書」に相続人全員の実印を押印します。

注意点

・法定相続、遺産分割協議いずれも登記が必要

令和6年4月1日より相続登記が義務化されました。

相続登記を行わない場合、10万円の過料が課されることになります。

相続を原因とする所有権移転登記は相続人のうちの一人が申請できます。

図面の作成が必要ではないので、添付書類をそろえたら自分で申請できます。

また、司法書士に依頼する方法がありますが、別途報酬が必要になります。

・添付書類の収集が非常に面倒

相続を証明する書類として、お亡くなりになられた方の生まれてからお亡くなりになるまでの戸籍謄本および改製原戸籍(謄本)、相続人の戸籍謄抄本等、多くの書類を集める必要があります。⇒法務省サイト

郵送でも申請できますが、定額小為替を購入するために平日昼間に郵便局に行く必要があるなど時間休を取るような場面が出てきます。

また、きょうだい間での戸籍収集は自ら取得できないため、御きょうだいのご協力が必要になります。

登記申請を代理できるのは司法書士しかありませんが、添付書類の収集や相続関係説明図の作成は比較的リーズナブルな行政書士を活用するのも一つの手ではないかと思います。

・争いごとは弁護士しか処理できない

相続人の間で争い(やもめごと)がある場合、家庭裁判所での調停等が必要になります。それを代理できるのは弁護士しかありません。その際はいち早く弁護士に相談されることを強くお勧めします。

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