相続について②死亡届から祭祀まで
亡くなられた後の手続きは多岐にわたります。
葬儀社、行政(市役所のみならず、年金事務所も)はともかく、銀行、保険会社、証券会社と平日日中にしか営業していない機関に対面でお伺いしなければならないことが多く、本来のお仕事に支障をきたすことがざらにあります。
今回は、イントロダクションで示した5分類のうち、
- 死亡届の提出
- 祭祀に関すること(葬儀・埋葬・法事)
について述べてみたいと思います。
大まかな流れは下記のとおりになります。
- 病院による葬儀社のあっせん
- 葬儀社または自宅への搬送
- 葬儀社との打ち合わせ
- 死亡届の提出
- 法要・納骨
①病院による葬儀社のあっせん
医師が死亡したと診断されると、看護師によるエンゼルケアが施されます。その間、病院より葬儀社のあっせんが行われます。
なお、介護施設は葬儀社へのあっせんのノウハウを持ち合わせていない場合がありますので、介護施設での看取りを考えていてる方は事前に、葬儀社との連絡調整が必要になります。
すでに葬儀社と事前の申し込みが行われた際は、葬儀社に連絡して搬送を待つのみになりますが、病院は病室もしくは霊安室に長期間遺体を置くわけにはいかないので、積極的に葬儀社をあっせんし、即時に葬儀社を決めてもらうよう催促してきます。
医師は直ちに死亡証明書をフォーマットに沿って手書きで記入します。
死亡証明書は市役所に死亡届を提出るすのに必要です。必ず10部程度コピーを取って大切に保管しましょう。
※自宅や外出先での突然死や病院内での持病とは無関係の死亡等、予期しない死亡の場合、警察の検視作業が入ります。検視作業が終わり、遺体引き渡しが行われた後の流れは一緒ですが、その際は警察官との調整が必要です。
②葬儀社または自宅への搬送
葬儀社・への連絡の際に、遺体をご葬儀までに安置する場所を決めなければなりません。
遺体を安置する設備があるかどうかは葬儀社に確認する必要があります。
家庭での安置を前提としている、または空きがないため遺体安置を受け付けない葬儀社・斎場があるので、特に事前申し込みがない状態で葬儀社を手配する場合は確認が必要です。
③葬儀社との打ち合わせ ④死亡届の提出
葬儀社は基本的に、故人の最期の住所地の斎場を使用することになります。
気を付けなければならないのは、住民登録をした「最後の住所地」が高齢者施設で、自宅は市外にある場合です。
その際、火葬手数料が高額になるため、葬儀社は強引に高齢者施設のある市町村のある斎場での通夜・告別式を勧めてきます。
故人が高齢者施設のある市町村に縁がなく、自宅のある市町村で最後のお別れをしたいのは自然なことと思います。
その際は、死亡届を提出する人を自宅のある市町村に住む親族にお願いすることになります。
また、死亡届の提出や火葬許可申請を自分で行う必要はありません。葬儀社が代行するケースがほとんどです。
⑤ 法要・納骨
菩提寺もしくは所属教会等がある場合は、お寺もしくは教会に電話連絡して調整することになります。
中には信仰している宗教・宗派がありながら、菩提寺のない方もいらっしゃるかと思います。
その際は、葬儀社に僧侶または神父・牧師・神官等にあっせんをお願いすることになります。
歴史の長い葬儀社であれば、各宗教・宗派ごとのしきたりに精通しているので、安心して葬儀社に相談されれば滞りなく進められるかと思います。
お布施等、僧侶・神父等に支払う報酬の相場についても、地域ごとに異なりますので、葬儀社にご相談されるのが確実ですし、地元にご親族がいれば、ご親族に確認するのが確実と思われます。
納骨場所については、菩提寺や所属教会が場所を指定するケースがありますので、菩提寺もしくは所属教会に確認してください。
墓石の設置にあたっては石材会社を菩提寺が指定している場合があります。 墓石を新たに建てられる場合は注意が必要です。
仏式の場合、納骨を四十九日法要と同時に行っていることが多いですが、実際に納骨の作業を行うのは石材会社になります。菩提寺のみならず、石材会社とも調整してください。満足のいく旅立ちのために、お手数ですが、実際に出向いて対面で調整されることをお勧めします。
なお、埋葬の際には「埋葬許可証」が必要になります。火葬した際に返却される「火葬許可証」がそのまま「埋葬許可証」となります。納骨の際に菩提寺等(公園墓地であれば、墓地管理者)に提出します。埋葬まで大切に保管してください。