成年後見について

最近、成年後見制度に対する否定的な論調が散見されています。

成年後見は高齢者の財産を守っているのか大疑問 支援を求めたのに大事な資産を失った90歳女性 | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

成年後見人の報酬の基準として、東京家庭裁判所立川支部によるガイドラインがあります。

成年後見人等の報酬のめやす(東京家庭裁判所立川支部)

これによると、

管理財産額が1000万
円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円,管理財産
額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円

成年後見人等の報酬のめやす(東京家庭裁判所立川支部

とありますが、問題は、専門職(司法書士、弁護士等)が「後見監督人」として就任した場合、後見監督人に対して支払う報酬が余計にかかる、ということと思われます。

成年後見監督人が,通常の後見監督事務を行った場合の報酬(基本報酬)のめや
すとなる額は,管理財産額が5000万円以下の場合には月額1万円~2万円,管
理財産額が5000万円を超える場合には月額2万5000円~3万円とします。

成年後見人等の報酬のめやす(東京家庭裁判所立川支部

成年後見人に加え、「後見監督人」がついてしまうと、資産1000万円程度で、3万円+1万円=4万円、資産家であれば、6万円+3万円=9万円が月にかかるものであり、かなり高額になると思われます。

どうすれば、このような高額な支払いを行わずに済むか、ということを考える必要があるかと思います。

  • いかに「後見監督員」がつかないようにするか、を考える。
  • 毎月入る年金がどれくらいあるのかを把握すること。
  • 親族はどこまでだったら負担できるか、を計画すること。

そこに行きつくのかな、と考えています。

ここで提案したいのは、

  • 本人の判断能力があるうちに任意後見契約を締結する。
  • 本人の判断能力が低下し、成年後見制度を使う場合は、財産管理を任意後見人に、身上監護を親族が担う方向で家庭裁判所に申し立てる。
  • 日用品の購入等、生活するために必要な額を把握する。(要するにいかに贅沢をしないか)

年1回の定期報告で裁判所が気にするのは、「いかに財産を減らさないか」「いかに年単位での赤字を発生させないか」「本人の財産を使って投資・投機を行わないか」に尽きると思います。定期報告中の「収支計画書」の結果が黒字か赤字かで裁判所の態度ががらりと変わります。

とはいえ、

本人の自己決定権尊重の観点から、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」について、成年被後見人は単独で法律行為ができます。成年後見人には、成年被後見人の行為を取り消す権限がありますが、この「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については取り消すことはできません。

成年被後見人とは? できること・できないこと 被保佐人・被補助人との違いをわかりやすく解説 | 相続会議 (asahi.com)

とあるように、日用品の購入までは成年後見人は手出しはできません。裁判所もその点については、熟知しているはずです。

また、判断能力が落ちる前から任意後見契約がなされていれば、任意後見受任者を「成年後見人」として法定後見に移行するやり方もあるかと思います。

私の場合、祖母の成年後見申立の際に「行政書士資格を持っている」「司法書士試験受験経験がある」旨をアピールし、後見監督人を付けることなく、単独で法定後見を行うことができました。10年間の親族後見の中で、裁判所からのおとがめは一切ありませんでした。

開業の際は、もちろん、コスモス成年後見サポートセンターに入会する予定でいますが、私の経験をフル活用しながら、よりよい後見を探求したいと考えています。

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