業務の方向性について
行政書士事務所開業時の二本柱として、以下のことを考えています。
①介護離職の防止に向けて
高齢者の方が将来、疾病等により、自ら財産の管理が困難になるような状態になった際に困らないように事前に契約し(任意後見)、心身の状態を定期的にヒアリングし(見守りサービス)、いざ、財産管理が困難になった際は、任意後見人として、家庭裁判所に後見等の申立を行った上で、財産管理および身上看護(介護施設の契約、病院への入院手続き等)を遠方のご子息に代わって行なっていきたいと考えています。
② 思いを受け継がせたい方へ思いを確実に
お亡くなりになった際に、ご子息の間で争いにならないように、公正証書遺言の作成支援を中心として、遺言執行に渡るまで思いをサポートしていきたいと考えています。また、すでに親御さんがお亡くなられた後で、相続の方針は決まっているものの、手続きがわからない、という方に向けて、「遺産分割協議書」という形に残してサポートしていきたいと思います。(ただし、争いがない場合に限る)
※ただし、法務局に提出する不動産登記申請については、司法書士に依頼する必要があります。その際は、司法書士との提携を考えています。
※相続税については、税理士に依頼する必要があります。その際は税理士との提携を考えています。
③ その他
というわけで、以上の2本柱で進めていきたいと考えていますが、
Ⅰ 介護保険の申請代行は社会保険労務士の独占業務
○社会保険労務士法
第二条 社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識できない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。以下同じ。)を作成すること。
一の二 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
※ 別表第一に「介護保険」に関する条項あり。◯行政書士法
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第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
以上のように、介護保険に関する申請代行は社会保険労務士の独占業務であり、介護離職の防止を完全にサポートするのは、社労士(場合によっては社会福祉士や介護士)の協力が必要になりますが、できれば、社労士の資格も取得し(過去に2回ほど受験経験がありますが)、カバーできればいいなと考えています。
Ⅱ 知的障害に関しては行政書士の独占業務
介護施設や介護保険に関する業務については、社会保険労務士法の別表第一に網羅されているので、行政書士の入る余地はありませんが、知的障害者については、それに係る補助申請や支援に係る代行業務について、社会保険労務士法別表第一に記載されていないため、行政書士の業務の範疇に入るとされています。ただ、個人的には、成人の重度知的障害者はともかくとして、成長の可能性のある幼児期や学齢期の知的障害者や成人の高機能自閉症や発達障害については、「治る」という信念をもっていますので、逆にそれをサポートして行く方向でコンサルティングできればいいなと考えています 。それについては、後日、述べていきたいと思います。
Ⅲ 争いのある業務は原則として弁護士の独占業務
◯ 弁護士法
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
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いわゆる、「非弁行為」に関するものです。一旦争いがあると、原則として、和解も含めて弁護士の独占業務となります。例外として司法書士に認められている簡易裁判所における訴訟代理人業務やADRが挙げられますが、それについては、後日述べていきたいと思います。
テレビドラマになった「特上カバチ」は、私もはまりました。ただ、民事法務については、弁護士との業際問題を巡って訴訟になり、行政書士側が敗訴した判例もあるので、開業後に提携する弁護士先生とタッグを組みながら進めていきたいと考えています。