成年後見には2つの形態が

成年後見には2つの形態があることをご存じでしょうか。
一つは法定後見と言って、家庭裁判所が後見人等を決めるもの。いわゆる「後見」「補佐」「補助」の3つのカテゴリーでよく言われているものです。20世紀には「禁治産」「準禁治産」という名称で呼ばれたものが改正されたものです。
もう一つは任意後見といって、公正証書による契約によるものです。いずれもメリットやデメリットがあります。

法定後見について

すでに判断能力が衰えているご本人に代わり、家庭裁判所が4親等以内の親族・検察官・市町村長・任意後見人等の申し立てにより、成年後見人等を選任するものです。判断能力の程度により「後見」「補佐」「補助」の審判が下されます。

メリット

・報酬が裁判所で決められており、公正が担保される
・判断能力が衰えた段階での申し立てが可能
取消権や同意権という強い権限が付与されており、財産を守ることができる

デメリット

・実際に介護している親族など、望んだ方が後見人になれるとは限らない(ここ最近の傾向では司法書士などの専門家が選任されるケースが多い

任意後見について

法定後見に対して、まだ本人の判断能力がしっかりしているうちに本人と後見人予定者との間で契約(公正証書による)を結んで、将来的に判断能力が衰えた時に後見監督人を選任して後見を開始する形態の「任意後見」の制度があります。そこには ①将来型 ②即効型 ③移行型の「3つの型」があります。

  • 将来型:元気なうちに任意後見契約のみ締結
  • 即効型:任意後見契約締結後速やかに後見監督人を選任し、後見を開始
  • 移行型:財産管理や特定の事務に関する通常の委任契約を締結し、将来判断能力が低下したときに任意後見に移行するもの。

 多く用いられているのは「将来型」や「移行型」が殆どです。「即効型」はすでに判断能力が落ちている状況とみられますので、任意後見ではなく、法定後見で申立てられることになるため、きわめてレアと思われます。
 特に、一人暮らしで身寄りがない場合、身体の衰えによる外出困難を見越して「移行型」を契約されるケースが多いようです。

メリット

・頼みたい人に頼める(望んだ方が後見人になれる)
・報酬を自由に決められる
・判断力低下前から死後事務まで頼める
・生前事務の委任契約も締結するため、判断能力が落ちる前から面倒な事務手続きの支援を受けられる

デメリット

・取消権、同意権といった強い権限がない(代理権のみ)
・判断能力が衰えた際の監督人専任のタイミングを定める必要がある。また、後見開始には監督人の選任が必であり、必ずしも後見人の思いのままになるとは限らない
・監督人が選任されると監督人の報酬が追加的に発生する
・生前事務契約では金融機関の対応が法定後見とは異なり、機関ごとにばらばらである

当事務所のスタンス

・公益社団法人 コスモス成年後見サポートセンターに入会(2025年8月1日入会予定)
成年後見賠償責任保険が発効する10月1日以降からサービス開始
10年にわたる祖母の親族後見人としての実績を武器に経験者として寄り添います。
・(公社)コスモス成年後見サポートセンターによる業務管理の下で安全安心のサービスを提供いたします。

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